HMW総診 プロジェクトメンバーの声
HMWの持つ多様なフィールドは、
総合診療の理想的な学びの場。
教育顧問
徳田 安春
プロフィール
群星沖縄臨床研修センター長。1988年琉球大学医学部医学科を卒業後、沖縄県立中部病院総合内科などで研修・臨床を重ね、聖路加国際病院、聖ルカ・ライフサイエンス研究所、筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター、水戸協同病院、地域医療機能推進機構(JCHO)本部顧問などを歴任。2017年より現職の群星沖縄臨床研修センター長を務めるほか、複数大学で教授・客員教授などとして教育・臨床教育に携わる。
「教育」にかける想い。HMW総診での「教育」について
これまで身につけてきた知識や手技を患者さんのために活用していきたいと思っても、自分一人が担当できる患者さんの数にはどうしても限界があります。一人でも多くの患者さんに自分が勉強してきたことを活用していくためには、医師を目指す若手を教育することで波及効果が高まるのではないかと考え、約30年前から教育活動に力を注ぐようになりました。実際の患者さんを診療する実践型の臨床実習「闘魂外来」は、私が力を入れてきた教育活動の一つの形です。
教育の中でもっとも重要なのは臨床現場での「問診」と「診察」で、私はこれらを「サイエンス」と「アート」という二つの軸から教えてきました。「サイエンス」は多くの論文で発表されているエビデンスをベースに伝えていきます。もう一つの「アート」は、“芸術”という日本語訳ではうまく伝わらない部分もあるのですが、昔から“臨床はアートである”という名言もあるのです。問診は患者さんとのコミュニケーションですし、診察の手技というのは五感を使って行うもの。これはなかなかサイエンスだけでは割り切れない職人芸のような部分があると思っています。教科書を読んだだけで習得できるものではなく、実際に人間が行う「アート」の現場を目撃し、自ら体験していくことでようやく身につけることができるのです。HMW総診でも「闘魂外来」、「闘魂回診」のような臨床実習に取り組んでいきたいと思っています。
平成医療福祉グループの病院で闘魂回診を行った時の様子
打診の方法をレクチャー
総合診療医に必要な「学び」とは
総合診療では、患者さんの「病気」だけを診るのではなく「人(人間性)」を診ます。そこで重要になるのが、バイオ(生物学的要因)、サイコ(心理的要因)、ソーシャル(社会的要因)の三つのアプローチです。バイオはいわゆる医学のことなので、ここにアプローチすることはもちろん大事ですが、患者さんの病気が実は心理的な要因(サイコ)からきていたり、経済面やコミュニティ(ソーシャル)などに問題があったりすることも多いのです。こういった場合、薬などで対症療法的な治療を行ってもよくはなりません。特に高齢者になると人生歴も長くなり、いろいろなストレスが蓄積しているでしょう。そういう方の人生歴を聴きながら、病気の本当の要因を見つけていく。こうした積み重ねによってはじめて全人的医療ができるのだと思います。
日本の医学部は理系で、数学とか物理などの科目が得意な人が行く学部と言われてきました。しかし、私がロールモデルとして尊敬している医学者のウィリアム・オスラー(1849~1919年)はその時代ですでに、医者はリベラルアーツを勉強することが重要であると語っています。心理学や社会学、歴史、倫理、哲学などを含むリベラルアーツは、例えばACPや終末期ケアなどを深く理解するためにも必要な教養です。医学書だけでなく、長い年月を乗り越え今なお残る書籍をたくさん読み、リベラルアーツを身につけていってください。
また、患者さんのことを深く知るために、総合診療医は地域に出ていくことも大切です。積極的に地域に足を踏み入れ、地域の人々がどういう暮らしをして、どういう悩みや課題がその地域にあるのかをコミュニケーションを取りながら見つけていく。地域に出て、地域から学ぶ姿勢も総合診療医には欠かせません。
HMW総診だからできることとは?
平成医療福祉グループは日本各地にネットワークを持っています。東京のような都市部はもちろん、地域や僻地にも展開しています。医療は地域のシステムや地理的・経済的な問題などに影響されるので、その地域では今、どういう医療が必要とされているのか、どういう医療を展開しないといけないのかということが学びやすい環境です。これは総合診療にとっては理想的な勉強の場であり、理想的なネットワークだと思います。
また、総合診療は一般的に、大きな病院で「病院総合診療医(ホスピタリスト)」、診療所で「家庭医(プライマリケア)」の経験をそれぞれ積むことになりますが、平成医療福祉グループは、回復期・慢性期医療を中心に、在宅医療や地域医療、高齢者の介護施設、障がい者の福祉施設に加え海外など多様性に富んだフィールドを持っている。ホスピタリストから家庭医の文脈まで本当に幅広い経験を積むことができる環境です。
先述したウィリアム・オスラーは、「病院は大学である」という発言もしています。大学の教室の中ではなく病院の方が医学の勉強がしやすい、病院で勉強することが大事だと言っているのです。平成医療福祉グループの多様性のある環境が、総合診療医を目指す研修医の学びの場になるとともに、医学生にとって貴重なアーリーエクスポージャーの学びの場としても活用されていくことを期待しています。